月別アーカイブ: 2015年5月

臨時休業のお知らせ

 5月25日(月)は都合により誠に勝手ながら、臨時休業いたします。
 24日(日)にむすめの学校行事があり、その振り替え休日で明けの月曜日が休みになるからです。
 
 

おまけ
 ~5月のむぎふく(村上メソッドを利用して)

 5月はゴールデンウィークが月の頭にあって、何かと気ぜわしい月だ。
 パンの店むぎふく的にはどうだったかというと、忙しい日と暇な日と交互におとずれた。暇な日の次の日はお客さんが多いパターンだ。こういうときはパンをどれだけ作ろうか迷ってしまう。「残るよりは少なく作って、売り切ろう」と思うわけだ。そして、その次の日はなぜかお客さんが朝から多い。
 とてもちぐはぐで、いつもより2倍疲れた。それにしても、もうちょっと、バラしてきてくれるとぼくの精神安定上大変いいな、と思う。
 暇な日だったときは、本当に暇で世間は本当にゴールデンウィークなのか?とカレンダーを確認したけれどやっぱり世間は休日だった。よく晴れた5月の休日にお客のいないお店の番をしているぼく。奥さんは子どもが休みなので、昼ごはん作りに追われ、子どもたちは外でけんかしながら遊んでいた。ぼくは仕方がないので、図書館で借りてきた村上春樹を読んだ。
 ぼくは村上春樹の本を読み終えたことがなかった。20年くらい前『ノルウエイの森』が流行ったときも、ぜんぜん合わなくて、読むのをやめた。最初の3ページで挫折したある意味すごい本だった。そのとき読んでいた本はブックオフの中古本だった。とてもきれいな本で、たぶんこの本を売った人もぜんぜん合わなくて、すぐ売ったのだろうなと察しがついた。
 それから、いつかは読んでみたい作家という頭の中リストに入れてはいたが、手に取ることはなかったのだ。それがどうしたことかゴールデンウィーク前に図書館で村上春樹を借りてしまった。なぜかはわからない。たとえをするならば、テスト勉強中にあえてする掃除に近いかもしれない。お店が忙しいといいな、だけど働きたくないなという気持ちのはざまにある自営業者の揺れる気持ち。現実逃避のための、借りただけの読まない小説のはずだった。
 店番をしながら、村上春樹の『スプートニクの恋人』を軽い気持ちで読み始めた。きっとぼくには合わないに違いない、これは只の暇つぶしに読む本のつもりだった。でも、こういう話はだいたいそうなるものだ。ぼくは最初っから物語の世界に気持ちが持っていかれてしまった。中編小説のこの物語は話の加速感がすごく心地よく、読みの巡航スピードに入ったときには、もう店番を忘れていたし、むしろ「今、お客来なきゃいいな」とさえ思っていた。
 それでも物語を読み進める間に何組かお客さんが来てパンを買ってくださったが、それはボクシングのインターバルのようなちょうどいい感じでポツポツとだった。頭が加熱したところで、さましてくれるようないいタイミングだった。物語はどんどん進み、中盤から後半にかかるかかからないかというところでこの日の営業時間は終わった。ぼくは「いい楽しみができたな」と思って本を戸棚にしまって、明日のパンの準備にかかった。「明日も暇だろう」と天気予報をみて、僕は判断をし、休日のにしては少なめに仕込んだ。
 ところがだ、翌日、お店を明けてからお客さんがいきなり来るではないか。午前中はパラパラと、午後にはめづらしくちょっと店内が混み合った。パンは足らないし、本は読めないし、とても混乱した日になってしまったのだった。続きは気になって気になって仕方がなかったけれど、夜に疲れた頭で読んだら、勿体無い気がしてまた読める機会を待つことにした。ぼくはそれはゴールデンウィーク明けだろうと予測をたてた。
 この次の日はまったく暇な日だった。昨日忙しかった余韻が残っていて、パンはたっぷり用意したし、ぼくの気持ちもお客さん千客万来モードに入っていたが、暇だった。暇は暇でもこういうときに『スプートニクの恋人』は読めなかった。なぜなら、それはとても悲しい物語だったからだ。いつお客さんが来て、いつでも商売モードに入っていいように準備しているときに、悲しい気持ちの本は読めないのだった。気になる、でも読めない。読もうかな、でも読まないでおこう。こんなふうに考えているうちにこの日は暇なまま終わってしまった。
 ゴールデンウィークの最終日はほどほど売れた。ほどほどパンを作り、その狙い通りにパンが売れた。最後の最後でやっと世間と僕の商売に友好関係が生まれたところで、今年のゴールデンウィークは終わってしまった。
 ぼくはゴールデンウィークが終わったその日の夜『スプートニクの恋人』を読み終えた。喪失感と悲しい気持ちが残る物語だった。もう一度最初から読み直して、寝たのが午前1時を過ぎていた。やっぱり悲しい話だった。
 それから、いま、ゴールデンウィークもとうに終わってしまって、お店は平日モードで基本的には暇だ。僕はもう一冊借りてきた村上春樹の『ノルウエイの森』をお店で店番をしながら読んでいる。もう物語は最後のほうにかかってきたけれど、これもまた喪失感と悲しい気持ちで読み終える予感がしている。こういうときに100人くらいお客さんが来て、根こそぎパンを買ってくれたら、気分が晴れてすばらしいと思う。

 ※ 村上春樹は英語訳日本語で文章を書く人のようだ。この村上メソッドを利用して、文章を書くととても書きやすかった。そして最   後はブン投げて余韻を誘う。
   とても勉強になりました。もうちょっと、研究してみます。